作品1847
ブラジュロンヌ子爵
The Vicomte of Bragelonne: Ten Years Later
『ブラジュロンヌ子爵』 は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる長編小説。フランスの新聞紙、『シエークル』において1847年10月20日から1850年1月12日まで連載された。『ダルタニャン物語』三部作の最終作にあたる。1660年、チャールズ2世の王政復古からダルタニャンが戦死するまでを描く。第二部『二十年後』からさらに十年後の物語である事から、『十年後』…
作品1847
The Vicomte of Bragelonne: Ten Years Later
『ブラジュロンヌ子爵』 は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる長編小説。フランスの新聞紙、『シエークル』において1847年10月20日から1850年1月12日まで連載された。『ダルタニャン物語』三部作の最終作にあたる。1660年、チャールズ2世の王政復古からダルタニャンが戦死するまでを描く。第二部『二十年後』からさらに十年後の物語である事から、『十年後』…
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『ブラジュロンヌ子爵』(仏: Le Vicomte de Bragelonne)は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる長編小説。フランスの新聞紙、『シエークル』において1847年10月20日から1850年1月12日まで連載された。『ダルタニャン物語』三部作の最終作にあたる。1660年、チャールズ2世の王政復古からダルタニャンが戦死するまでを描く。第二部『二十年後』からさらに十年後の物語である事から、『十年後』の副題がついている。 分量では、『三銃士』と『二十年後』の合計を上回り、三部作の中で最も長い作品である。
『ブラジュロンヌ子爵』 は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる長編小説。フランスの新聞紙、『シエークル』において1847年10月20日から1850年1月12日まで連載された。『ダルタニャン物語』三部作の最終作にあたる。1660年、チャールズ2世の王政復古からダルタニャンが戦死するまでを描く。第二部『二十年後』からさらに十年後の物語である事から、『十年後』の副題がついている。
『ブラジュロンヌ子爵』(仏: Le Vicomte de Bragelonne)は、アレクサンドル・デュマ・ペールによる長編小説。フランスの新聞紙、『シエークル』において1847年10月20日から1850年1月12日まで連載された。『ダルタニャン物語』三部作の最終作にあたる。1660年、チャールズ2世の王政復古からダルタニャンが戦死するまでを描く。第二部『二十年後』からさらに十年後の物語である事から、『十年後』の副題がついている。
分量では、『三銃士』と『二十年後』の合計を上回り、三部作の中で最も長い作品である。
表題人物は アトス(ラ・フェール伯爵)の息子ラウル・ド・ブラジュロンヌである。物語は1660年-1661年のルイ14世の親政黎明期を中心に、イギリス王政復古、 ルイ14世による国家体制と統治基盤形成の道のり、ニコラ・フーケとコルベールの政争、ルイ14世とルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの恋、アラミスによるルイ14世と双子の弟フィリップの国王入れ替え計画などを軸として展開される。実在の人物や史実の逸話が多く盛り込まれ、ヴォー=ル=ヴィコントの大饗宴や、実在した才ある廷臣や芸術家や官僚たちによる群像劇と壮大な歴史ドラマが繰り広げられる。
舞台はフランス国内にとどまらず、実質的な主人公であるダルタニャン、アトス、アラミス、ポルトスの活躍も、スケールアップしている。
本作は、それぞれ軍事、外交・宗教、武勇、名誉の頂点へ到達していくダルタニャンと三銃士の晩年の活躍から、ラウルの悲恋、彼らの最期までが描かれ、物語は仏蘭戦争でのダルタニャンの死をもって完結する。
物語は『二十年後』より10年後の1660年から始まる
清教徒革命によりイギリスを追われ流浪していたチャールズ2世が、ブロワ城に滞在するルイ14世に、王政復古のための軍資金救援を求めて訪ねてくる。しかし、ルイ14世はいまだ宰相ジュール・マザランに実権を握られており、チャールズ2世を支援する権限はなく、頼みを断る。それを見ていたダルタニャンはルイ14世に愛想を尽かし、50歳近くの高齢ながらチャールズ2世の復位に尽力しようと退役し、イギリスへ渡る事を決心する。時を同じくしてアトスはチャールズ2世の訪問を受け、先王チャールズ1世との誓約を果たし王位を取り戻す時は来たと、イギリスへ旅立って行った。
チャールズ1世の処刑後、王政が廃止されたイギリスは、クロムウェル護国卿時代が崩壊し、軍事勢力と議会が分裂していた。チャールズ1世からスチュアート王家の秘密の財宝を託されていたアトスは、議会の主導権を握るモンク将軍と接触して正当な王位継承者チャールズ2世の復位を説き、直後にダルタニャンが何も知らないままモンクを誘拐してハーグのチャールズ2世のもとへと連行する。この二人の異なる活躍の末に、モンクは王政復古への協力を決意し、チャールズ2世の復位が成し遂げられる。
翌年、宰相マザランが息を引き取り、ルイ14世自身による親政が始まる。ルイ14世は破産した国家財政を立て直すため、マザランの秘書官だったジャン・バティスト・コルベールを財務監督官に任命する。 コルベールは、巨万の富を持つ財務総監ニコラ・フーケの権勢を阻むためフーケの失脚を企てていた。コルベールは、フーケがベル・イール・アン・メールで密かに要塞を築いていることをルイ14世に報告する。
ルイ14世はダルタニャンを呼び戻し銃士隊長に任命すると、ベル・イールの調査を命じる。ダルタニャンはベル・イールへ渡り、島で秘密裏に要塞工事が行われている事を確認するが、その要塞工事の指揮をしていたのはポルトスだった。ダルタニャンは、ヴァンヌの司教アラミスとも再会し、アラミスがベル・イール要塞の実質的な設計者であり、フーケの右腕であることを見抜く。
一方でアラミスもダルタニャンがルイ14世の密命を受けてベル・イールへ調査に来たことを確信し、早馬でフーケに知らせ、間一髪でベル・イール要塞をルイ14世に献上して、フーケが反逆罪に陥れられることを免れる。
アトスがチャールズ2世の大使として、イギリスのアンリエット王女とルイ14世の弟オルレアン公フィリップの婚姻を成立させたことで、アンリエット王女がフランスへ輿入れしてくる。 美貌で愛らしく魅力的なアンリエット王女は、随行の2代目バッキンガム公爵を夢中にさせており、ギーシュ伯爵もアンリエット王女に心を奪われる。
その王弟妃アンリエットの侍女として、ラウルの愛するルイズ・ド・ラ・ヴァリエールが、ブロワからパリの王宮にやってきた。 ルイズは、ブロワ城で初めてルイ14世を見た瞬間から、国王に心を揺り動かされていた。そして、宮廷で再びルイ14世を見て、それが焦がれるような恋心へと変わっていく。
一方でアトスは、息子ラウルからルイズとの結婚の決意を打ち明けられて反対するが、ラウルの決意は固く、アトスは不承不承に結婚の許可を願い出る。しかしルイ14世はアトスが結婚に不本意だという本音を看破し、ルイズの家柄の低さとラウルは軍で栄達を遂げてから結婚すべきだとの理由で結婚を不許可にする。
ラウル・ド・ブラジュロンヌ
本作の主人公で、アトスの実子。二十代半ばで武勇に秀で気高く純粋で、 アトスから受け継いだ教養と非の打ち所のない洗練された宮廷マナー、誠実な高潔さにより誰からも愛される貴公子。本名ラウル・オーギュスト・ジュール・ド・ブラジュロンヌ。王族 コンデ大公の側近を経て、ルイ14世に仕え、優れた教養と品格から、有望な青年貴族として随行任務などを担う。父アトスを地上の神と崇拝しダルタニャンを武人の鏡として敬愛している。隣の領地に住む貧しい貴族の娘で幼馴染のルイズ・ド・ラ・ヴァリエールを幼い頃から愛している。父アトスは息子ラウルとルイズの恋愛に長らく強く反対していたが、ラウルの決意に押され、ルイ14世に不承不承、結婚許可を求めに行く。アトスの反対を察したルイ14世は、ルイズの家柄の低さとラウルの将来性を理由に結婚を不許可にする。その後、ルイズがルイ14世への恋心を告白しているのをルイ自身が偶然耳にし心を動かされ、ラウルをチャールズ2世のイギリス宮廷へ特使として派遣する。ラウル不在の間にルイ14世とルイズの恋愛が進行し、帰国後に、それを知ったラウルはアルジェリア遠征に自ら出陣して、一騎で敵陣へ突撃する。8発の銃撃を受け重傷を負うが、外科医による手術は成功する。しかしその夜、ベッドから飛び降り、ルイズの髪の束を握り締め微笑みを浮かべたまま、失血によって死亡する。
第一部『三銃士』、第二部『二十年後』の主人公で、本作でも実質的な主人公。50歳近くになりながらも武勇に秀で元気溌剌。物語の序盤でイギリスに渡りイギリス王政復古に乗じて莫大な財産を作り、長年の貧困生活に終止符を打った。その後、親政を決意し腹心となるべき人物を必要としたルイ14世に半ば強引に呼び戻され、銃士隊長に就任。かつての三銃士とは、ルイ14世による逮捕命令や攻撃命令を受けながらも、固い友情を守り通す。そして、ついにはフランス元帥の位まで上り詰める。
アトス(ラ・フェール伯爵)
かつての三銃士のリーダー格。 60歳近いが若々しい鋭さを残しており、荘重さと風格、気高い精神を兼ね備えた貴族の精華。一人息子ラウルへ惜しみない愛情をそそぐ。流転の国王チャールズ2世を助け、イ
出典: ブラジュロンヌ子爵 (CC BY-SA)
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美貌で才気煥発な王弟妃アンリエットは、宮廷中を虜にしていたが、あろうことかルイ14世とアンリエットが恋に落ちてしまう。母后アンヌに戒められたルイ14世とアンリエットは、恋の隠れ蓑として、ルイ14世が侍女ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールを気に入っているという噂を広めようとする。
しかし、この計画が実行に移される前に、純粋なルイズは、初めて会った時から魂を奪われていたルイ14世への恋心を、森の奥で仲間の侍女たちに、告白する。それを偶然ルイ14世が木の影で聞いてしまう。 ルイズの自分への純愛に激しく恋心を掻き立てられたルイ14世は、ラウルを特使としてイギリス宮廷へ派遣する。
王政復古の功労者アトスを父に持つラウルはチャールズ2世の宮廷で歓待され、美貌のメアリー・グラフトン公爵令嬢を紹介される。高潔で聡明で魅力的なメアリー・グラフトンは、やがてラウルを愛するようになる。
一方、フランスでは、ルイ14世の愛が急激に冷めていくのを知った王弟妃アンリエットがルイズに激しく嫉妬し、母后アンヌ・ドートリッシュとともにルイズを厳しく叱責し、侍女を解雇して宮廷から追放してしまう。傷心のルイズは宮廷を去り、修道院に逃げ込むが、ダルタニャンから事情を聞いたルイ14世がルイズを宮廷へ連れ戻す。寵臣サン・テーニャンはルイ14世のために、ルイズの部屋へ通じる秘密の隠し階段を造らせ、こうして二人は密会するようになる
この隠し階段の密会を知った王弟妃アンリエットは、ルイ14世とルイズの恋を妨害しようと、イギリス宮廷に滞在するラウルを呼び戻す。ラウルは急ぎフランス宮廷へ戻るが、ルイズの部屋に入ったとたんに、隠し階段からルイズに会いに来たルイ14世と、鉢合わせしてしまった。
ルイズがルイ14世を愛していることを知ったラウルは、悲嘆に暮れる。一連の事情を知ったアトスはルイ14世に謁見し、ラウルとルイズの結婚を認めるよう求める。しかし、ルイ14世はこれを拒否し、自分とルイズは愛し合っており、ルイズはラウルを愛していないと答える。 これに対しアトスは、国王が臣下との信義を損なったことを厳しく非難し、忠誠の象徴である剣を折って決別を宣言する。ルイ14世は激昂してアトスをバスティーユ牢獄に投獄するが、ダルタニャンが、ルイの行動を厳しく諫める。ダルタニャンは、「陛下が欲しいのは友人で偉大な人物か、それとも世辞追従の服従者か」とつめ寄り、国王か自分かどちらかが死ぬまで決着はつかぬと、自らの心臓に剣を突き立てようとする。ルイ14世はこれを制止し、自らの未熟さを悟ってアトス釈放の命令書を書く。
財務総監ニコラ・フーケは、その権勢と財力ゆえにいよいよルイ14世の粛清の対象となっていた。ルイ14世の出生の秘密を知るアラミスは、フーケを救うため、そしてローマ法王になるという己の野望のために、国王を入れ替える計画を企てる。
ルイ14世には出生の秘密があった。ルイは双子として産まれた。双子の弟フィリップは、王位継承争いを危惧したリシュリュー枢機卿とルイ13世の命令により、生まれるとすぐに存在を隠されて人里離れたノワジー・ル・セックの屋敷で傅育官と乳母に育てられた。母后アンヌ・ドートリッシュとシュヴルーズ公爵夫人だけがフィリップの屋敷を訪れており、15年前にアラミスはその供をしたことがあったのだ。ルイ14世と瓜二つで見分けがつかないフィリップは、現在はバスチーユ牢獄の独房に「マルキアリ」の名前で特別待遇の囚人として幽閉されていた。
イエズス会管区長のアラミスは、イエズス会士のバスティーユ長官ベーズモーを意のままに動かすことが出来た。アラミスはフィリップをバスティーユ牢獄から脱出させ、フーケが国王を招待して催したヴォー・ル・ヴィコントの大園遊会に乗じて、ルイ14世とフィリップを入れ替える。しかし、アラミスから計画の全容を聞いた清廉なフーケはアラミスに怒り、バスティーユ牢獄へルイ14世を救出に向かう。フーケの正義感によって、国王入れ替え計画は失敗した。
アラミスはポルトスを連れてフランスを脱出し、ベル・イール・アン・メール要塞へ立てこもった。だが、国王の艦隊がベル・イールを包囲し、王軍が島へ上陸する。王軍の指揮を執るダルタニャンは、アラミスとポルトスを逃す時間を稼ごうとするが、ルイ14世はダルタニャンからすべての指揮権を奪ってしまう。ポルトスはロクマリアの洞窟でアラミスを海上へと逃し、迫り来る国王軍に爆薬の樽を投げる。洞窟の爆破により国王軍は甚大な損害を受けるが、ポルトスは脱出の際、足が萎える持病で体の自由が効かなくなり、洞窟の崩落で巨石に押しつぶされて死亡する。アラミスはポルトスの死に一晩泣き明かし、イエズス会士であるフランス海軍提督に命じ、フランス軍艦を奪ってスペインへと亡命する。
急ぎルイ14世の元へ戻ったダルタニャンは、ポルトスとアラミスの無罪放免を求める。 ダルタニャンの忠誠心と長年の信頼関係を重視したルイ14世は、コルベールの進言もあり、アラミスとポルトスを無罪赦免にする。
絶対王政に向けて国を盤石の体制にしていくルイ14世を、時に厳しくいさめながらも、ダルタニャンは、国王に仕える銃士隊長としての道を突き進む。財務大臣フーケを壮絶な追跡の果てに逮捕し、鉄仮面をかぶせられたルイ14世の双子の弟フィリップをサント・マルグリット島へ護送する任務を遂行した。
ブロワでは、すべての望みを失い失意の日々を送っていたラウルの元へ、王族ボーフォール公が訪ね、アルジェリア遠征の副官にしたいと打診してきた。戦死を決意したラウルは、遠征軍に加わる。アトスは断腸の思いで息子を旅立たせた。
ラウルは、アルジェリア軍との戦闘で、ボーフォール公の静止を振り切り一騎で敵陣へ突撃し、銃撃を受け重傷を負う。外科医による手術は成功するが、その夜、医師が離れた隙にベッドから飛び降り、ルイズの髪の束を握り締めて微笑みを浮かべたまま失血によって死亡する。
ラウルの死の報せはアトスのもとへ届けられ、アトスは、最愛の息子の幻影に導かれるように微笑みを浮かべて天へ昇り、息を引き取る。